Fortranと機械学習: ソート・ランク付け・探索

データ前処理と高速検索の要

ソート・ランク付け・探索のアイコン

NAGライブラリのM01チャプターは、数値データと文字データの内部ソートと探索に特化した機能を提供します。単純なデータ構造のみを扱い、すべてのデータがプログラム内に格納できる内部処理を対象としています。特に機械学習のパイプラインでは、特徴量エンジニアリングやデータの正規化において、効率的なソートとランク付けが重要な役割を果たします。また、モデルの学習・推論フェーズでは、最近傍探索やパラメータ空間の探索など、高速な検索操作が必要不可欠です。

NAGライブラリのソート・探索機能

1. データのランク付け機能

データの順序付けと統計量の計算に不可欠な機能を提供します。特に異常検知や分布に依存しないロバストな特徴量生成において重要です。

  • 実数ベクトルのランク付け(M01DAF):連続値特徴量の順位変換を行います。外れ値に対してロバストな特徴量生成や、ノンパラメトリックな統計量の計算に活用できます。
  • 整数ベクトルのランク付け(M01DBF):離散値データの順序付けを実行します。カテゴリカル変数の順序エンコーディングやラベルエンコーディングの前処理に利用できます。
  • 文字データのランク付け(M01DCF):文字列データの順序付けを行います。自然言語処理タスクでの語彙のインデックス化や前処理に適しています。

2. データの再配置機能

ソートされたデータの効率的な再構成を実現します。特徴量の正規化やモデルの入力データの準備において重要です。

  • 実数データの再配置(M01EAF):ランク情報に基づいてデータを並び替えます。分位数正規化やスケーリングの実装に有用です。特に勾配ブースティングなどのツリーベースモデルの学習前処理で活用できます。
  • 整数データの再配置(M01EBF):離散値データの並び替えを行います。カテゴリカル特徴量のビン分割や頻度エンコーディングの実装に適しています。
  • 文字データの再配置(M01ECF):文字列データの並び替えを実行します。テキスト分類や感情分析のための語彙の標準化に利用できます。

3. 高速検索機能

ソート済みデータに対する効率的なアクセスを提供します。モデルの推論フェーズでの高速な検索操作を実現します。

  • 実数の二分探索(M01NAF):連続値データでの高速検索を実現します。k近傍法やローカル線形回帰での最近傍探索、ハイパーパラメータの最適化における効率的な探索に活用できます。
  • 整数の二分探索(M01NBF):離散値データの検索を行います。特徴量のビン境界の探索や、アンサンブル学習での予測値の集計に適しています。
  • 文字データの探索(M01NCF):文字列データの検索を提供します。テキスト分類や文書検索システムでの高速な語彙検索に利用できます。

4. 補助機能

データ構造の最適化をサポートします。大規模データセットの効率的な処理に不可欠です。

  • 順位・インデックス変換(M01ZAF):順位とインデックスの相互変換を行います。特徴量の重要度に基づく変数選択やアンサンブル学習での投票集計に活用できます。
  • 置換の分解(M01ZCF):置換操作を最適化します。ミニバッチ学習でのデータのシャッフリングや、クロスバリデーションでのデータ分割の効率的な実装に適しています。

まとめ

これらのルーチンは、大規模データセットを扱う際の計算効率とメモリ使用量を最適化するように実装されています。また、数値的な安定性も考慮されており、機械学習システムの構築における基盤的な機能として活用できます。

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