1 スパース連立一次方程式に関するChapterについて

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1 スパース連立一次方程式に関するChapterについて

nAGライブラリでは1500種類以上の様々な分野の計算ルーチンが提供されていますが、 それらのサブルーチンは分かりやすいように50個ほどのChapter (章)にカテゴリ分けされています。 各Chapterには特定の分野の計算(例えば固有値問題、連立一次方程式、求積)に関連するサブルーチンが集められています。

スパース連立一次方程式に関するサブルーチンは Chapter F11(F11章)にまとめられています。 Chapter F11には約50個のスパース連立一次方程式の計算に関連するサブルーチン(例:LU分解、コレスキー分解、反復法ソルバー、直接法ソルバー、ベクトル行列積)が含まれています。

補足:密行列 (dense matrix) の連立一次方程式に関するサブルーチンはスパースとは別のChapter (F07章等)にまとめられています。

これらの計算ルーチンの中からどのルーチンを用いるかは、 解こうとしている問題(行列)のタイプや、求められる柔軟性、利用したいアルゴリズム等に依存します。

1.1 Chapter F11で利用可能なソルバールーチン

以下に行列タイプ毎に利用可能なソルバールーチンを示します。

行列タイプnAGルーチン名解法
実非対称行列 F11DEF 反復法(RGMRES, CGS, Bi-CGSTAB, TFQMR)
実非対称行列 F11MFF 直接法
実対称行列 F11JEF 反復法(GC, SYMMLQ)
複素非エルミート行列 F11DSF 反復法
複素エルミート行列 F11JSF 反復法

※本資料にはこれら5つのソルバールーチンのサンプルコードが含まれています。

※ここで示されているルーチン(F11MFF以外)は「ブラックボックスルーチン」と呼ばれるものです。 ブラックボックスルーチンは簡単に利用ができるというメリットを持ちますが、 メモリ上でのスパース行列の格納形式が固定されてしまう点や、一度の計算で済む 行列の分解処理等も毎回計算しなければならない等の柔軟性を多少犠牲にしています。

※Chapter F11 にはブラックボックスルーチン以外に、 これらの柔軟性を犠牲にしないベーシックルーチンと呼ばれるものが存在します。 より柔軟性が求められる場面ではユーザがベーシックルーチンを組み合わせて、 柔軟性と効率を追求することが可能となっています。Chapter F11 で利用可能なルーチンやその組み合わせについての詳細情報は、 F11 Chapter Introduction をご参照ください。


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