Fortran Builder 5.3.2 IDE リリースノート
1 イントロダクション
本ドキュメントはnAG Fortran Builderリリース5.3.2のユーザインタフェース部分に関するリリースノートです。
リリース5.3 及び 5.3.1 のリリースノートが追記されています。
2 エディタへの変更
- エディタの行番号をクリックして行選択が行えるようになりました。
- [編集 | ファイルの挿入...] より、指定ファイルを現在編集中のファイルに挿入できるようになりました。
- Fortran Builder終了時のダイアログメッセージのボタン文字列を変更し、より意図が明確になるようにしました。 「プロジェクト X を保存しますか?」(Xは実際のプロジェクト名)に対して今まで[はい]、[いいえ]であったボタンの文字列を [保存する]、[保存しない]にそれぞれ変更しました。
3 プロジェクトの設定への変更
- スタティックライブラリプロジェクト及びDLLプロジェクトには関係しないオプションを無効化するようにしました。
- スタティックライブラリプロジェクトにおいてライブラリもしくはDLLへの参照は意味を持たないため、追加ができないように変更されました。
- リリースモードのおいて、実行終了時の一時停止のデフォルト設定値が(デバッグモードと同様に)有効化されました。
4 プロジェクト管理に関連する変更
- [プロジェクト | クリーンオール]が新たに追加され、現在のプロジェクトフォルダ内に存在するすべてのオブジェクトファイル(.o)、 モジュールファイル(.mod)の他、Fortran Builderが生成する形式のファイルを削除できるようになりました。 これは[プロジェクト | クリーン]が現在のプロジェクトに関連するファイルのみを削除するのとは対照的です。
- [ファイル | プロジェクトを削除する...]が新たに追加され、 現在開いているプロジェクトの削除が行えるようになりました。 事故を防ぐため、保存されていないファイルがエディタ上に開かれている場合や、 プロジェクトフォルダ内にサブフォルダが存在する場合には、プロジェクトフォルダは削除されません。
- [ファイル | プロジェクト名の変更...]が新たに追加され、 プロジェクト名の変更が行えるようになりました。 この操作によりプロジェクファイル名(.fbpファイル)及び Fortran Builderのウィンドウのタイトルとして表示されるプロジェクト名が変更されます。 尚、本操作ではプロジェクトフォルダ名は変更されません。
-
ソースファイルをプロジェクトに追加する際に、
プロジェクト内のファイルもしくは追加される他のソースファイルが同じオブジェクトファイルを生成する場合に、
このエラーが検出され、その旨のメッセージが表示されます。(ファイルの追加も行いません)
例えば “sub.c” を追加しようとした場合に既にプロジェクト内に “sub.f90” が存在するような場合、
これら双方共に “sub.o” を生成することになってしまうためエラーとなります。
また、プロジェクトファイルを[ファイル | 新規作成 | ファイル]より新規に作成する場合と、 [ファイル | 名前を付けて保存]で保存する場合にも同様のチェックが行われます。
- プロジェクトに属するソースファイルを[ファイル | 名前を付けて保存]で変更する場合で、 変更後の名前と同じ名前でプロジェクトに属さないファイルが既に存在する場合に、上書きを確認するメッセージが表示されます。 また変更後の名前がプロジェクトに既に存在している場合には上書きは許されません。
- プロジェクトを[ファイル | 新規作成 | プロジェクト]で新規作成する場合に、 指定されたロジェクトフォルダの場所(すなわちプロジェクトフォルダの親フォルダ)が既に存在しない場合は、 このフォルダを新規作成するかどうかの確認を行うようになりました。
5 デフォルトの場所
-
Fortran Builderをクイックモードで実行する場合、
新規ファイル作成時のデフォルトフォルダの場所が
Documents\FBuilder\Quickに設定されるようになりました。
ファイルがこれとは異なる場所に作成された場合、 その場所が記憶され、その後のクイックモードにおける新規ファイル作成で用いられます。 (セッションを超えて記憶されます)
- プロジェクトモードで [ファイル | 新規作成 | ファイル] が行われた場合でプロジェクトフォルダ以外に作成を行った場合、 その場所が記憶され以後の新規ファイル作成で用いられます。 但しこの場合(クイックモードとは異なり)プロジェクトを閉じた場合やFortran Builderを立ち上げ直した場合には、 この記憶は削除されプロジェクトフォルダがデフォルトの作成場所に戻ります。
6 その他の変更点
- [プロジェクトの新規作成]と[プロジェクトを開き直す]のツールバーアイコンが追加されました。 それに伴いファイルツールバーのアイコン順序が以下の通りとなりました。 [プロジェクトの新規作成]、[プロジェクトを開く]、[プロジェクトを開き直す]、[ファイルの新規作成]、[ファイルを開く]、[ファイルを開き直す]、[保存]、[印刷]
- [ファイル | 開く] 及び [プロジェクト | プロジェクトに追加] の際に、 デフォルトの状態ですべてのソースファイル形式の表示が行われるようになりました。(今まではFortranのみ)
-
Fortran Builderの各種設定を出荷時のデフォルト値へ戻すためのツールが新たに提供されるようになりました。
本ツールはWindowsのスタートメニューより nAG | Fortran Builder 5.3.2 | Tools | Fortran Builderリセット でご利用いただけます。
この操作により最近利用したファイルおよびプロジェクトの履歴も削除されます。
それぞれのプロジェクトの設定はプロジェクトファイルに格納されていますので、この操作により影響を受ける事はありません。 影響を受けるのは各種ツールの設定やプロジェクトの新規作成時の設定値です。
- コンソールアプリケーション、OpenGLアプリケーション、LAPACKアプリケーション、及びGTK+アプリケーションのテンプレートに IMPLICIT NONE を追加しました。
- 64ビットのSimdemプロジェクトがネイティブ化され、ヘルパープロセスを必要としなくなりました。
7 リリース 5.3.1における変更点
7.1 ヘルプに関連する変更点
- 印刷、実行時の引数、ビルドメッセージの詳細、プロジェクトから削除の各ダイアログウィンドウに‘ヘルプ’ボタンが追加されました。
- F1キーを押すことにより印刷、実行時の引数、ビルドメッセージの詳細、プロジェクトから削除、指定行にジャンプ、環境変数の設定の各ダイアログウィンドウでコンテクストヘルプを表示できるようになりました。
7.2 サポートされるファイル形式
- 自由形式のデフォルトが‘.f95’から‘.f90’になりました。(‘.f95’も引き続き認識されます)
- ‘.inc’ファイルがFortran INCLUDEファイルとしてサポートされるようになりました。
7.3 その他の変更点
- プロジェクトマネージャー内のファイルが ‘ソースファイル’, ‘インクルードファイル’, ‘その他のファイル’の3つのカテゴリに分けられるようになりました。 ‘その他のファイル’は入力データやサンプルの結果ファイル等を含めるために作成されました。
- nAG LIBアプリケーションプロジェクト及びLAPACKアプリケーションプロジェクトの新規作成時には、 入力ファイル(存在する場合)及びサンプル出力結果がプロジェクト(‘その他のファイル’フォルダ)に追加されます。 (これまではプロジェクトフォルダにこれらのファイルがコピーされていたものの、 プロジェクトへの追加は行われていませんでした。)
- Simdemがバージョン 6.8.2へアップグレードされました。 Simdemアプリケーションプロジェクトが64ビットモードでも利用できるようになりました。
- -glineオプションを指定した場合に、 トレースバック情報をダブルクリックすることで該当行へジャンプする機能が追加されました。
- エディタの入力補間機能の候補を実際に挿入される文字設定(大文字、小文字、先頭大文字)に基づき表示するようになりました。
- [検索 | 指定行にジャンプ...] の機能がControl-Gを押すことにより利用できるようになりました。
7.4 マイナーな変更点
- 何も選択されていない状態でCTRL+Cを押した場合にクリップボードを空にしないように修正されました。
- あまり表示される機会がないダイアログメッセージの内容がよりわかりやすいメッセージに変更されました。
- 「開き直す」、及び「プロジェクトを開き直す」で表示されるファイル(もしくはプロジェクト)が最高10個までに変更されました。
- -english オプションが実行時エラーの言語設定を行うための環境変数nAGFORTRAN_RUNTIME_LANGUAGEにも伝搬されるようになりました。 これによりこのオプションを指定した場合には実行時エラーメッセージも英語で表示されます。
- メニュー‘プログラムの終了’が‘プログラムの強制終了’に変更されました。 これにより実際の動作をより正しく示すようになりました。
- サンプルテンプレートソースファイル名、入力ファイル名、出力ファイル名がよりわかりやすい名前に変更されました。
- スクロール時のカーソルの動きを改善しました。
- Fortran Builderが生成するmakefileが変更され、Fortran Builderを使わない場合でも利用しやすくなりました。
- 幾つかの重複する実行形式ファイルをFortran Builderのインストール先の下の‘bin’フォルダから削除しました。
- エディタ上でマウスを右クリックした際に表示されるメニュー「選択範囲を一括検索」が「選択文字列の一括検索」に変更されました。
- 利便性を向上させるために、あまり利用されない編集メニューアイテム「日本語再変換」、「Unicodeエスケープ変換」、「ISO Latin 1文字コード変換」が削除されました。
- [表示 | 前回のビルドメッセージ] がより実際の動作を表す [表示 | ビルドメッセージ詳細] に変更されました。
- プロジェクト選択ダイアログウィンドウをはじめとするいくつかのダイアログウィンドウのサイズが見直され、スクロールの必要性を最小限にしました。
8 リリース5.3での変更点
以下はリリース5.3のユーザインタフェース部分に関する説明です。
8.1 主要な変更点
nAG Fortran Builderは64-bitのWindows Vista 及び Windows 7で32-bit及び64-bitの両方のアプリケーションをサポートするようになりました。 Simdemプロジェクトを除くすべてのプロジェクトタイプが64-bitに対応しています。(Simdemプロジェクトは32-bitのみ対応) 32-bitシステムでは32-bitアプリケーションのみの開発がサポートされています。8.2 その他の重要な変更点
-
古い固定形式ソースファイルを自由形式へ変換する機能がソース整形機能と統合され、以下のとおりとなりました。
- 元のソースファイルの形式に関わらず、変換時に同一のオプションが利用可能となりました。
- 変換時に古い形式のファイルはプロジェクトから削除され、新しい形式のファイルが自動的に追加されます。
- コールグラフの出力にヘッダとより多くの情報が含まれるように改善されました。
- コードの選択された部分をコメント化する機能と非コメント化機能が追加されました。
- DLL作成プロジェクトが大いに簡素化され、能率的になりました。
- ソース変換機能がより堅固になり、語彙的な誤りを含むソースコードであっても変換が可能となりました。 尚、変換中に検出されたエラーは通常の仕組みにより通知されます。
8.3 副次的な変更点
- より特徴的で識別しやすいアイコンが新たに提供されるようになりました。 また、nAG Fortran Builderにより生成されるファイル形式(例、.a, .d, .o and .mod等) が提供されるようになりました。
- プロジェクトマネージャーの「ソースファイル」で右マウスボタンをクリックして表示される「ABC順に並べ替える」を選択することにより、 プロジェクト内のファイルをアルファベット順に並べ替えることができるようになりました。
- 開いているファイルのタブで右マウスボタンをクリックして表示される「このファイル以外全て閉じる」を選択することにより、 一つのファイルを除いた他のすべてのファイルを一回の操作で閉じる事ができるようになりました。
- よりよいパフォーマンスを得るために、64-bitモードのLAPACKプロジェクトはAMD Core Maths Libraryを利用します。
- 同一行内のテキストが選択された状態で検索もしくは置換メニューを選択すると、選択されたテキストがデフォルトの検索対象となります。
- エディタの入力補間で最新のnAG Fortranコンパイラが認識する新たなキーワードと組込み関数が組み込まれました。
- Fortran整形機能の設定が「ソース整形の設定」メニューより行えるようになりました。 これにより従来のように毎回設定の確認が行われることがなくなりました。
- 新たなソース整形オプション “Capitalised” (1文字目だけ大文字)が追加され、キーワードのデフォルト値となりました。
- ソース整形オプション設定のレイアウトがより使いやすくなりました。 一行あたりの桁数の最大値の範囲が78-130より10-1024へ変更されました。 これにより非常に幅の狭いコード(出版向け等)にも、幅の広いコードにも対応できるようになりました。
-
プロジェクトの設定画面に以下の変更が加えられました:
- 主要なオプションが前面(基本設定)に配置されました。
- デバッグオプション及び最適化オプションの設定が、CとFortranで統合されました。
- リンクオプションがよりシンプルにわかりやすくなりました。
- Fortran標準(95/2003/2008)を選べるようになりました。(これにより警告選択がより簡潔になりました)
- Fortran詳細設定(1)と(2)の各オプションを、より有用なものを(1)に含めるように変更されました。
- C/C++オプションの設定の不要でわかりにくいオプションを削除し、より簡潔な指定が行えるように変更されました。
- Fortran Builder が使うメモリ量がより削減されました。
- ファイルの依存関係検出の信頼性が高まりました。これによりプロジェクトビルド時に正しい順番でコンパイルを行うことができます。
- テンポラリファイルの格納先がWindowsnoテンポラリフォルダに変更されました。
8.4 表面的な変更点
- “Fortran 77” を “Fortran (固定形式)”に、そして “Fortran 95” を “Fortran (自由形式)” へそれぞれ変更しました。 (言語レベルとソース形式は必ずしも一致しないので)
- トライアルライセンス利用時に残り日数が表示されるようになりました。
- DLL互換を示すオプション -f77 が -compatible という名前に変更されました。
- ファイル拡張子 .ftn が固定形式のFortranファイルであると認識されるようになりました。
- テキストファイル編集時に [コンパイル] ボタンを押せないように変更されました。
- いくつかのプロジェクトタイプに関して、テンプレートソースファイルがアップデートされました。
- ビルドメッセージ詳細ウィンドウでCTRL/Cによるクリップボードへのコピーが行えるようになりました。
- リンクライブラリを入力する際の入力チェックが改良されました。
- FAQへの新たなアイテムの追加とFortran言語機能及び関数についての記述を含む オンラインドキュメントがアップデートされました。
