Cetena は、 海事産業のための様々な調査とコンサルティングを行っている、イタリアに本拠を置く研究センターです。Cetena では、仮想プロトタイピングに ENGYS 社の計算流体力学(CFD)アプリケーション HELYX-EcoMarine を使用しています。
NAG は、HPC クラスター上の CFD アプリケーションの最適なシステム構成の調査を行いました。
海運・造船業者は、荒れた海に耐える、より効率的で安全な船舶設計を求めています。そのために、流体モデリングや環境モデリングの専門家の意見がしばしば求められます。これらの専門家(Cetena など)は、船舶設計を最適化するために、仮想モデリングの高度なソフトウェアを用います。Cetena は、仮想モデリングに ENGYS 社などのアプリケーションベンダーが提供するソフトウェアツールを使用しています。NAG は、大規模な HPC クラスター上の様々な数値計算アプリケーションに関する知識と経験を提供することで、この分野の専門家のエコシステムに貢献します。
この Cetena/ENGYS プロジェクトのために、NAG は Fortissimo(注1) から資金提供を受け、ISV パートナーが既存の CFD パッケージを強化するのを支援しました。
NAG は、船体の水力学的抵抗問題の解析のための新しいソルバーを導入し、エンドユーザーが用いるデスクトップ環境から遠隔 HPC クラスターの大規模シミュレーションの設定・制御・実行を容易にするクライアント/サーバーコンポーネントを組みました。その他 NAG が行った仕事は、クラスターの全体的なアーキテクチャとソフトウェア環境の調査、パートナーへの CSE サポートの提供、ソフトウェア導入プロセスの簡素化、大規模分散データセットと遠隔可視化処理に関する事例の確立などです。
NAG は、オープンソースソフトウェアを用いて、遠隔クラスターの大規模分散データセットの視覚化をサポートする様々なアプローチを調査しました。Forward Communication と Reverse Communication、SSH トンネリングの有無、異なるソフトウェアレンダリングエンジンの使用(および、可能な場合は GPU ハードウェアの使用)、これらの組み合わせから効率的なアプローチを検討・採用し、ISV パートナーが商用 CFD 製品に実装しました。
このプロジェクトでの NAG の仕事は、効率性(例えば、リアルタイムでの CFD モデルの 3D インタラクティブ可視化)と利便性(例えば、ローカルと遠隔で、同じデスクトップ GUI によるジョブの設定・実行)の両方を実現するクラウドベースソリューションが可能であることを示しました。また、クラウドベースソリューションの費用対効果も実証されました。このプロジェクトでは、様々なクラウド環境でのソフトウェアソリューションの展開方法と、ISV パートナーに有益な展開プロセスの合理化について検討を続けています。
注1: 本件は、主に中小企業と中堅企業を対象とした、エンジニアリングと製造業におけるハイパフォーマンス・クラウドベースシミュレーションの利用促進のための、欧州 Fortissimo 2 プロジェクト(www.fortissimo-project.eu)の一環として実施されました。