業種 | 大学・全国共同利用施設 |
ソリューション | 大規模計算機システムによる計算サービスの提供 |
使用された製品 | NAG Library for SMP & Multicore |
使用された関数 | 数値計算全般 |
お客様プロファイル
写真:北海道大学情報基盤センター(北館)
北海道大学情報基盤センター様は、1962年に発足した北海道大学計算センターならびに1979年に設置された情報処理教育センターを前身とし、これら2センターの廃止・転換により2003年4月に設置され、現在に至っています。北海道大学情報基盤センター様は全国共同利用施設として、情報化を推進するための研究開発ならびに情報基盤の整備および運用を行い、 教育研究等の高度化を推進すると共に、情報メディアを活用した教育の実施および支援を行うことを目的としています。北海道大学情報基盤センター様は、スーパーコンピュータおよびクラウドシステムを主とした各種利用サービスを提供しています。
図1:スーパコンピュータとクラウドシステム(提供:北海道大学情報基盤センター様)
URL:http://www.iic.hokudai.ac.jp/
NAG製品を導入された経緯や導入による効果などについて、北海道大学情報基盤センター大規模計算システム研究部門においてユーザサポートやスーパーコンピュータ用アプリケーションソフトウエアの開発を担当されている大宮学教授にお話を伺いました。
NAG製品を導入された経緯
「これまでHITACHI SR8000、SR11000モデルK1およびSR16000モデルM1と機種を更新してきました。そのときに配慮していることが、ユーザ資産の継承性です。計算機の更新に際して、ソースコードの修正なしに直ちに動作し、性能向上を実感していただけることを最重要事項としています。そのような中で、数値計算ライブラリ製品の選択にも注意を払っています。すなわち、永く利用していただけ、信頼性が高く、必要なルーチンが揃っていて、満足いく性能が得られるなどが評価の観点です。特に、HITACHI SR11000モデルK1からは、IBM社製C/C++コンパイラが利用できるようになり、それとの相性にも配慮しました。いろいろ調査した結果、NAG社製数値計算ライブラリを導入することを決定しました。」
NAG製品の導入による効果について
「基本ルーチンから専門的なルーチンまで一通り揃っているので、ユーザのいかなる要求にも対応できることは素晴らしいと思います。また、利用方法などのサンプルが充実しているので、ほとんどの場合、ユーザ自身がサンプルコードを参照して、ライブラリルーチンのプログラムへの組み込みや利用など解決がなされます。利用者数は多くはありませんが、確実に満足していただいていると考えています。」
NAG製品へ今後期待すること
「最近では、スカラ型計算機アーキテクチャに基づくシステムが一般化していることから、それらシステムに適合して並列処理性能が発揮される時間領域解析が多くなってきています。このような解析手法では、数値計算ライブラリの利用はごく限られたものとなります。したがって、新たな数値計算ライブラリの提供が必要であると考えています。以下においては、2つの例について述べさせていただきます。
ひとつは、有限要素解析において反復解法を利用する際、解析規模が大規模になると解が収束しなくなる場合に遭遇します。メッシュ作成法、解析パラメータの調整あるいは前処理をいろいろ試しても収束しない場合などがあります。特定の解析対象に対するカスタマイズされたライブラリの開発などができたらと考えます。
もうひとつは、計算機の大規模化により自動最適化設計が注目されています。これには遺伝的アルゴリズム(GA)、ニューラルネットワーク(NN)や免疫アルゴリズム(IA)などを適用して、ほぼ最適であろうと思われる解を求めます。今のところ、GA等を適用した解析コードは研究者が個々に開発しているのが一般的であると思います。そこで、分散メモリ型並列処理機能を有し、GA等に基づいた自動最適化ライブラリが利用できるようになると、このような課題が一気に解決され、多くのユーザが自動最適化問題を取り扱えるようになるのではないかと考えます。特に、自動最適化設計では、潤沢な計算リソースを長時間にわたって利用することから、計算機利用も爆発的に増大するものと期待しています。」